デイサービスの看護師は病棟と何が違う? 現役看護師が感じた4つの違い
病棟の「入院から退院まで」と、デイの「日常生活の延長」。同じ看護師でも、仕事の形はここまで変わります。
公開日:2026-10-01
この記事の結論(カルテ)
- 対象読者:病棟からデイサービスへの転職を考えている看護師
- 結論:デイの看護師は、治療を担う人ではなく、日常を医療の目で見守る「アドバイザー」に近い
- 意外な点:体調のことを伝えるときも、看護師から直接ではなく「相談員」をはさむことが多い
- いちばんの良さ:業務がその日で完結し、翌日まで持ち越さない
問診室:デイサービスって、看護師は何をするの?
デイサービスの看護師って、正直あまりイメージがわかないです。病棟とそんなに違うんですか?
違います。このページは、病棟からデイサービスと夜勤の組み合わせに移った運営者・ひかるの体験をもとにしています。いちばん大きいのは、患者さんとの「関わり方の形」です。
病棟からデイサービスに移ったきっかけ
病棟でいちばん大変だったのは、受け持ち(プライマリー)の仕組みでした。入院から退院まで、何人もの患者さんを受け持ちます。多いときには、重症の患者さんを20人ほど受け持つこともありました。
医師などとの連携も、結局は看護師が責任を持つことが多く、調整役の仕事が多すぎました。その仕事量が、給料に見合わないと感じたのが大きな理由です。
そこで、仕事がその日のうちに完結するデイサービスを選びました。
違い1:受け持つ範囲
病棟では、受け持ち(プライマリー)の看護師がつき、入院から退院まで、交代勤務の中で一人の患者さんを受け持ちます。治療のことはもちろん、退院後の予定まで含めて関わるのが基本です。
デイサービスに来られるのは、病気の治療中の人というより、日常生活を送っている方です。機能が落ちるのを防いだり、体調を崩さないように予防したりするために、生活の延長として通って来られる方が多くいます。
違い2:看護師が見るもの
そのため、看護師が見るものも変わります。中心になるのは、日頃の服薬がきちんとできているか、家でどう過ごしているか、といった生活の中の健康です。
治療を進める仕事から、日常の小さな変化に気づいて、悪くなる前に手を打つ仕事へ。ここが病棟との大きな違いです。
違い3:報告の流れ(相談員をはさむ)
病院では、気になることがあれば、リーダーや医師に報告することが多いと思います。
介護のデイサービスには、「相談員」と呼ばれる人がいます。看護師が気づいた体調のことも、ケアマネジャーなどに看護師から直接病状を説明するのではなく、基本は相談員をはさんで伝えます。
これは意外に思われることが多いところです。病棟の感覚のまま動くと戸惑うので、最初に知っておくと楽になります。
違い4:看護師の役割は「医療面のアドバイザー」
デイサービスの看護師は、これまでの病棟での経験を生かして、医療の面からアドバイスする立場になります。
利用者さんへの声かけだけでなく、介護職の人たちに「この方はここに気をつけてほしい」と医療面での注意点を伝えるのも、大切な役割です。
デイサービスの1日の流れ(運営者の職場の場合)
実際のデイサービスの1日は、こんな流れです。運営者の職場は、外に出かける活動が多い「地域活動型」のデイサービスです。
| 時間 | すること |
|---|---|
| 8:30 | 出勤。情報収集、テーブルの準備、掃除、うがい用のコップの準備 |
| 9:00 | 利用者さんが到着。バイタル・体温・体調の確認。家族からの連絡ノートを見て整理する |
| 朝の確認 | その日のお昼に飲む薬や塗り薬をチェック。いつもと違うことがあればスタッフで共有 |
| 健康チェックのあと | お茶を出し、いつもと変わりないかを話しながら聞く。全員でラジオ体操と体操 |
| 体操のあと | 脳トレ(動画の脳トレ、好みに合わせた色塗りや計算問題)。その間に職員の朝礼 |
| 10:00〜昼 | ドライブや地域活動(畑仕事、外の掃除、お祭りやイベントへの参加)に出かける人も。残るスタッフは入浴の介助や、体調の悪い人の見守り |
| 昼食 | 食前・食後の薬がある人を確認。食べる様子を見守り、介助やとろみが必要な人には対応 |
| 昼食後〜14:00 | 利用者さんはお昼寝。スタッフは連絡ノートの整理や、午後のレクリエーションの準備 |
| 14:00 | 起きた人から、入浴の介助や午後のレクリエーション(体操、工作、品物にシールを貼る作業など) |
| 15:00ごろ | おやつ |
| 15:30 | 利用者さんとみんなで部屋の掃除。そのあとテレビを見るなどして、ひと息 |
| 15:40すぎ | 帰りの荷物の点検 |
| 15:50 | 帰りの車に乗ってもらう |
| 16:00〜16:30 | 利用者さんを送り出したら、スタッフで後片付け。16:30に退勤 |
看護師の仕事の中心は、朝の健康チェック、薬の確認、体調の悪い人の見守りです。そのうえで、体操や活動、掃除まで、利用者さんと一緒に1日を過ごします。
いちばんの良さ:業務がその日で完結する
デイサービスの仕事は、基本的にその日のうちに完結します。翌日まで仕事を引きずらないのは、病棟から移って感じた大きなメリットです。
夜勤の多い病棟で、帰ってからも患者さんのことが頭から離れなかった人にとっては、気持ちの切り替えがしやすい働き方です。
病棟とデイサービスの比較表
| 項目 | 病棟 / デイサービス |
|---|---|
| 関わり方 | 入院から退院まで受け持つ / 日常生活の延長として通う人を見守る |
| 看護師が見るもの | 治療と回復 / 服薬・体調・家での過ごし方 |
| 報告の流れ | リーダーや医師へ / 相談員をはさむ |
| 夜勤 | あり(交代勤務) / なし(8:30〜16:30) |
| 仕事の終わり方 | 次の勤務へ持ち越しやすい / その日のうちに完結 |
給料の目安(公的なデータ)
給料は地域や職場、夜勤の有無で大きく変わります。参考として、国の統計の数字を紹介します。
| 対象 | 平均(月給・常勤) |
|---|---|
| 介護の事業所の看護職員 | 平均給与額 38万4,620円/月(基本給+手当+一時金を月割り)。基本給と毎月の手当だけなら29万590円(2024年9月) |
| 看護師全体(病院などを含む) | 決まって支給される給与 36万3,500円/月、年間の賞与 83万5,000円(2024年) |
出典:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査」(介護職員等処遇改善加算を取得している事業所、2024年9月時点)、厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」。2つは調べ方が違う統計なので、単純に比べることはできません。実際の金額は、応募先の求人票や面接で必ず確かめてください。
向いている人・合わないかもしれない人
- 向いている:一人の利用者さんと長く関わりたい/生活の中の小さな変化に気づくのが得意/介護職と協力して働きたい
- 合わないかもしれない:急性期の処置や治療に関わり続けたい/医師の近くで判断を仰ぎながら働きたい
ほかの職場との違いは、訪問看護・デイサービス・クリニックの比較にまとめています。
本日の処方箋
病棟の経験は、デイサービスで「医療の目」として生きます。治療から生活へ。同じ看護でも、形を変えて続けられる場所があります。
よくある質問
デイサービスの看護師は、病棟のように受け持ちがありますか?
病棟のように入院から退院までを受け持つ形とは違います。生活の延長として通って来られる方の、服薬や体調、家での過ごし方を見守るのが中心です。
体調の変化に気づいたら、誰に伝えますか?
事業所によって違いますが、基本は「相談員」をはさんで、ケアマネジャーやご家族に伝わる形が多いです。病棟のようにリーダーや医師へ直接報告する流れとは異なります。
デイサービスの看護師のいちばんの良さは何ですか?
業務がその日で完結し、翌日まで仕事を持ち越しにくいことです。気持ちの切り替えがしやすい働き方です。
言葉にしにくい気持ちは、歌にしています
NURSE SOUNDTRACKは、白髪ナースのひかる・男性看護師のニコ・医師のツグ先生の3人が、現場の気持ちを歌にしている縦動画シリーズです。「やめる以外の働き方も選べる」を、歌で届けています。映像と音声はAIで制作していますが、内容は看護師の経験をもとに作っています。