
今週のナース時評 2026-10-10|インフル定点7.17、昨年同期の約7倍/定期接種が10月1日に開始
数字が少し下がった週こそ、何が下げたのかを確かめたい。今週は、早い流行のなかで始まった秋の接種シーズンを、次の勤務で見る場所へ置き換えます。
公開日:2026年10月10日(10月9日朝時点の公表データで作成)
この記事の結論(カルテ)
- 第39週(9月21日〜27日)のインフルエンザ定点当たり報告数は7.17。前週の8.48から下がったが、昨年同期の1.04と比べると約7倍。
- 第38週の新規入院はインフルエンザ752例(前週より274例増)、COVID-19は319例(46例増)。報告が多い年齢は10〜59歳で、働く世代と重なる。
- 10月1日から高齢者のインフルエンザと新型コロナの定期接種が始まった。接種の記録と、職員が発熱したときの職場のルールを今のうちに確かめておく。
問診室:「先週より下がった」を、そのまま信じない
今年のインフルエンザは、夏のうちに流行が始まりました。9月に入っても週ごとに増え続け、ここに来て初めて全国の数字が少し下がりました。
ただ、第39週は9月21日から23日まで祝日が続いた週です。診療している医療機関が少なければ、受診する人も報告される人も減ります。同じ週、インフルエンザ様の症状で休校や学級閉鎖をした施設も、前週の1,060から157に減っていました。学校が休みだった日が多かったことも、数字に影響している可能性があります。
今週は「ピークを越えたかどうか」を決めるのではなく、昨年と比べてどこにいるのか、入院につながっているのかを見ていきます。
回診①:定点7.17は、昨年同期の約7倍
厚生労働省が10月2日に公表した第39週の速報では、全国のインフルエンザ報告数は26,678例、定点当たり7.17でした。前週の8.48からは下がっています。一方、昨年同じ時期は定点当たり1.04、報告数は4,030例でした。
都道府県で見ると差が大きく、沖縄県は42.50で前週の26.27からさらに増えています。埼玉県14.17、茨城県12.50、愛知県12.33、岐阜県10.18と、10を超える県も残っています。全国の平均が下がっても、地域によってはまだ増えているところがあります。
国立健康危機管理研究機構の週報では、インフルエンザは第38週まで13週連続で増えていました。祝日の多い週をはさんだあとの第40週で、本当に下がり始めたのかが見えてきます。
明日見る場所:発熱した人の申し送りに、発症日・接触した人・自施設の隔離の判断が書かれているか。
回診②:新規入院752例。患者の数字は、職員の数字でもある
同じ週報では、第38週(9月14日〜20日)のインフルエンザによる新規入院は752例で、前週より274例増えました。COVID-19の新規入院も319例で、46例増えています。外来の報告だけでなく、入院が必要になる人も増えていた時期です。
もう一つ見ておきたいのが年齢です。インフルエンザとCOVID-19で報告が最も多かった年齢層は、10〜59歳でした。働く世代と、その子どもの世代です。病棟や施設で考えると、患者や利用者だけでなく、職員とその家族も含まれます。
流行の時期は、急な欠勤が重なりやすくなります。体調が悪いのに無理をして出勤したり、穴を埋めるために一人で連勤を引き受けたりすると、本人も周りも長く持ちません。自分が熱を出したときに誰へ連絡するのか、いつから出勤してよいのか。職場の決まりを、元気なうちに確かめておくと迷わずにすみます。
欠員の穴埋めが毎回同じ人に集中しているなら、それは勤務の組み方を見直すきっかけにもなります。先週の時評で書いた勤務表に印を付ける方法は、こういう時期の負担を記録するのにも使えます。
明日見る場所:職員が発熱したときの連絡先と、出勤を再開する基準が、すぐ見られる場所にあるか。
回診③:定期接種が10月1日に開始。供給は約5,190万回分の見込み
10月1日から、65歳以上の人などを対象に、インフルエンザと新型コロナの定期接種が市町村で始まりました。対象は、65歳以上の人と、60〜64歳で心臓・腎臓・呼吸器の機能やHIVによる免疫の機能に重い障害がある人です。開始日や費用の助成は市町村によって異なります。流行の早さを受けて、接種の開始を9月に前倒しした自治体もありました。
厚生労働省が8月の審議会に出した資料では、今シーズンのインフルエンザワクチンの供給量は約5,190万回分の見込みです。9月の第5週(10月2日時点)までに、その6割を超える約3,147万回分が出荷される見通しとされていました。近年、定期接種を受けた人は年に約1,965万人です。
施設やデイサービスでは、利用者がどこで、いつ、何を接種したかを家族や主治医とやりとりする場面が増えます。2種類の接種を別の日に受ける人もいます。接種したかどうかを、家族の話や記憶だけに頼らない仕組みがあると安心です。
明日見る場所:利用者の記録に、接種した日・ワクチンの種類・接種した医療機関を書く欄があるか。
本日の処方箋:「自分が倒れた日」の連絡先を確かめる
今週やることは一つです。自分が熱を出した朝に、誰へ、何時までに、どう連絡するのか。職場の決まりを一度だけ確認してください。分からなければ、次の勤務で上司に聞いてみてください。
流行の季節に休むのは、迷惑ではなく感染を広げないための仕事です。決まりが分かっていれば、熱が出た朝に一人で迷わずにすみます。働き方そのものを見直したいときは、「辞める」と「続ける」の間にある道から読めます。
よくある質問
定点当たり7.17というのは、全国の患者数ですか?
違います。全国約3,700か所の指定された医療機関(定点)から報告された数を、1か所あたりにならした値です。報告数は暫定値で、あとから変わることがあります。流行の傾向を見る目安として使い、個別の診断には用いません。
最新の第40週の数字はいつ出ますか?
厚生労働省は、第40週(9月28日〜10月4日)分を10月9日に公表する予定としていました。この記事は10月9日朝の時点で公表されていた数字で書いています。最新の値は厚生労働省の発表で確認してください。
定期接種の日程や費用は、どこで確かめればよいですか?
定期接種は市町村が実施するため、開始日・期間・自己負担額は住んでいる市町村によって違います。市町村の案内や、かかりつけの医療機関で確認してください。体調や持病で接種してよいか迷うときは、主治医に相談してください。
参照:厚生労働省「インフルエンザの発生状況について(令和8年第39週)」2026年10月2日/国立健康危機管理研究機構「急性呼吸器感染症サーベイランス週報 2026年第38週」/厚生労働省「2026/27シーズンの季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの供給等について」2026年8月26日/厚生労働省「インフルエンザワクチン(季節性)」/柏市「インフルエンザ流行を受け、予防接種の開始日を9月24日に前倒し」
感染対策や出勤の基準は、職場の規程と産業医・感染管理の担当者の指示を優先してください。この記事は、個別の診断・治療・接種の判断を代わりにするものではありません。