今週のナース時評 2026-08-01|熊本地震/熱中症1万8591人/COVID-19増加
今週の医療・看護ニュースを一次情報から現場の言葉へ。熊本地震、熱中症搬送18,591人、COVID-19の7週連続増加、無医地区575地区から、次の勤務で確認する場所を整理します。
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この記事の結論(カルテ)
- 熊本地震では7月31日16時時点で医療施設49施設に被害が残り、断水は48施設で続いていた
- 7月20日から26日の熱中症救急搬送は18,591人。高齢者が57.9%、住居が40.9%を占めた
- 第29週のCOVID-19は7週連続で増加し、新規入院患者は前週より36例多い196例だった
- 無医地区は575地区、無歯科医地区は750地区。退院支援では「受診先があるか」まで確認する
問診室:今週は「いつもの前提が消えたとき」を見る
水が出る。電気がつく。受診先へ行ける。必要なときに人を呼べる。
普段は意識しない前提が、地震や猛暑、地域の医療資源不足で突然なくなります。そのとき、手順書を覚えているだけでは看護は動きません。
患者さんの安全を支えている前提を、一つずつ言葉にする。今週はそこまで進めます。
回診①:熊本地震。医療施設49施設に被害が残った
厚生労働省の第22報によると、7月28日に発生した熊本地震を受け、熊本県内では最大84の医療施設に被害が確認されました。7月31日16時時点でも49施設に被害が残り、停電6施設、断水48施設、医療ガス2施設、その他8施設と報告されています。
日本看護協会は危機管理対策本部を設置し、熊本県看護協会が7月30日から8月2日まで、宇城総合病院へ災害支援ナース4人を派遣調整しました。
被災地だけの話ではありません。自施設でも、水、電気、酸素、通信、薬剤、エレベーター、人員のどれかが止まれば、普段のケアは組み直しになります。
患者さんの避難順位だけでなく、医療機器の電源、在宅酸素、透析、インスリン、経管栄養、連絡先まで、止まると困る順に確認します。
明日見る場所:自部署で断水したとき、最初の30分に誰が何を止め、何を続けるか共有されているか。
回診②:熱中症搬送18,591人。「室内だから安全」は通用しない
総務省消防庁の速報では、7月20日から26日までの熱中症による救急搬送は全国18,591人でした。前週の10,857人から約1.7倍です。
65歳以上は10,765人で57.9%。発生場所は住居が7,600人で40.9%でした。初診時に死亡が確認された人は45人、重症は713人です。いずれも速報値で、後日修正される可能性があります。
猛暑に断水や停電が重なると、「冷やす」「飲む」「休む」という基本行動も難しくなります。冷房の有無だけでなく、電気が使えるか、水を確保できるか、避難先まで移動できるかを別々に聞きます。
心不全や腎機能低下などで水分管理が必要な人には、一律の飲水を勧めず、個別の指示へ戻ります。
明日見る場所:帰宅する患者さんに、冷房・水・移動手段・連絡相手の4つがあるか。
回診③:COVID-19は7週連続増加。入院196例を「夏風邪」で流さない
国立健康危機管理研究機構の第29週(7月13日から19日)週報では、急性呼吸器感染症全体は定点当たり51.89、報告数193,016例で、前週からわずかに減少しました。
一方、COVID-19は定点当たり2.12、報告数7,921例で7週連続の増加。基幹定点から報告された新規入院患者は196例で、前週より36例増えました。全年齢群で増加しています。
ここでいう報告数は全国の患者総数ではなく、定点医療機関から集めた暫定値です。数字だけで一人の診断はできませんが、地域の流行を問診と感染対策へ戻す材料にはなります。
明日見る場所:発熱・咳の申し送りに、発症日、接触歴、集団生活、地域の流行、自施設の隔離基準がそろっているか。
回診④:無医地区575地区。紹介状の先に「通える道」があるか
厚生労働省が7月30日に公表した調査では、無医地区は前回より18地区増えて575地区、人口は134,753人でした。無歯科医地区は34地区減って750地区でしたが、人口は196,640人に増えています。調査時点は2025年10月末です。
無医地区とは、医療機関がないだけでなく、容易に受診できない地域を含む考え方です。紹介先を書けば支援が終わるわけではありません。
診療日、交通、家族の送迎、費用、オンライン診療の環境、薬を受け取る場所。患者さんが実際に通える条件まで確認して、初めて退院後の計画になります。
明日見る場所:退院支援の「かかりつけ」に、距離・移動手段・診療日が書かれているか。
【本日の処方箋】前提が一つ消えた場面を申し送る
4本すべてを覚える必要はありません。自部署のケアから、水、電気、移動、連絡、人員のどれか一つを選びます。
「これが使えなくなったら、誰が最初に困るか」を申し送りで一度だけ確認してください。それが今週の行動です。
ニュースの数字を、目の前の一人へ戻す
49施設、18,591人、7週連続、575地区。大きな数字は不安を増やすためではなく、見落としやすい前提を見つけるために使います。
安全を守る確認ばかりが増え、もう一人では抱えきれないあなたへ
必要な確認が増えても、人員と時間が増えなければ、個人の頑張りだけでは限界があります。今すぐ辞めると決めなくても、まず「体調・お金・職場との距離・手続き」を分けてください。
※医療判断や退職判断を代替するものではありません。
よくある質問
熊本地震の被害数は確定値ですか?
7月31日17時公表の厚生労働省第22報に基づく時点情報です。状況は更新されるため、最新の公的情報を確認してください。
熱中症搬送18,591人は確定値ですか?
消防庁の速報値で、後日修正される可能性があります。目の前の人の状態と個別の医療指示を優先してください。
COVID-19の7,921例は全国の患者総数ですか?
違います。定点医療機関から報告された暫定値です。全国の感染者総数として扱わず、地域と報告週を合わせて読みます。
参照:厚生労働省「令和8年熊本地震について」/同「熊本を震源とする地震について(第22報)」/日本看護協会「令和8年熊本地震 関連情報」/総務省消防庁「熱中症情報」/同「7月20日~26日速報値」/国立健康危機管理研究機構「急性呼吸器感染症サーベイランス週報 第29週」/厚生労働省「令和7年度無医地区等及び無歯科医地区等調査」。個別の診断、治療、服薬、避難、退職判断を代替するものではありません。