看護職が勤務表と記録を囲んで話し合う白黒のイメージ

今週のナース時評 2026-10-23|地域の看護師不足/介護の賃上げ要望/日々の看護の専門性

2026年10月23日号|情報確認:10月22日|10月22日公開|ひかる(看護師・医療ライター)

「人が足りない」の一言では、伝わらないことがあります。

夜勤の応援が見つからない。研修へ行く人の代わりを確保できない。毎日判断しているのに、その仕事が周りに見えにくい。今週は、看護や介護の仕事を続ける土台に関わるニュースを三つ取り上げます。

看護職員の確保を話し合う国の検討会、介護関係団体による処遇改善の要望、日々の看護の価値を伝える日本看護協会の特集です。公表された事実と、そこから私が現場で確かめたいことを分けて整理します。

今週のカルテ

  1. 10月19日の厚生労働省の検討会で、地域や働く領域による看護職員の不足の違いと、ナースセンターなどの支援が論点になりました。
  2. 日本看護協会は10月19日、介護関係17団体による要望の提出を知らせました。提出日は10月6日。基本報酬や賃金改善を求める要望です。
  3. 10月21日、日本看護協会が「看護師の専門性とアウトカムを語ろう」の掲載を案内しました。日々の判断を言葉にすることがテーマです。

回診①:看護師不足は、地域と働く場所まで見て考える

10月19日に開かれた厚生労働省の第6回「2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会」では、看護職員の確保策が取り上げられました。

資料2の最後にある論点案は、看護職員の需給が地域や領域によって異なることを挙げています。病院、訪問看護、介護施設をひとまとめにせず、地域ごとの状況を把握し、確保策につなげることが課題です。ナースセンターによる就業・復職支援や、ハローワークとの連携も論点になっています。

ここは、新しい全国一律の配置基準が決まったという発表ではありません。今ある支援や地域の取り組みを踏まえ、さらに何が必要かを話し合う資料です。

私が現場へ引き寄せて考えたいのは、「何人必要か」に加えて「どんな条件なら働き続けられるか」です。夜勤への対応、研修に出る日の代替、復職時のサポート。足りない条件が具体的になれば、相談先に伝える内容も変わります。

明日見る場所:欠員の人数だけでなく、どの時間帯・業務・支援が足りないのかを共有できているか。

(出典:厚生労働省「第6回検討会 資料2 看護職員確保策について」、10月19日、資料40ページ〈PDF41ページ目〉)

回診②:介護の賃上げは「要望」と「決定」を分けて読む

日本看護協会は10月19日の新着情報で、同協会を含む介護関係17団体が内閣官房長官へ要望書を提出したことを案内しました。要望書の日付は10月6日です。今週提出したという意味ではありません。

令和9年度の介護報酬改定に向け、基本報酬の十分な引き上げ、介護従事者の毎年の賃金改善と人材確保への支援、物価上昇に対応する措置を求めています。人手不足だけでなく、事業を続ける費用の問題も含む要望です。

これは団体が政府へ求めた内容であり、来年度の改定率や、一人ひとりの給与の増額が決まったわけではありません。報酬の議論と、勤務先での給与への反映は、段階を分けて確かめる必要があります。

介護施設やデイサービスで働く看護師にとっても、処遇の話は身近です。職場の説明を聞くときは、「制度がどう変わる見込みか」と「自分の基本給や手当をどう扱うのか」を分けると、まだ分からない部分を確認しやすくなります。

明日見る場所:給与や手当の説明で、決定した内容と、今後の制度変更を待つ内容が区別されているか。

(出典:介護関係17団体「令和9年度介護報酬改定に向けた要望書」、10月6日、PDF1ページ目。日本看護協会の新着案内は10月19日)

回診③:「何をしたか」に、判断した理由を添える

日本看護協会は10月21日、協会ニュース10月号特集「看護師の専門性とアウトカムを語ろう」の掲載を案内しました。看護管理者と看護教育者らが、看護の実践と、それが患者や利用者にもたらす結果を、どう見える形にするかを話し合っています。

同協会が発信する専門性は、特定の認定資格を持つ人だけの話ではありません。現場で働く一人ひとりの看護師が、知識と判断を使って行う実践を含みます。

特集では、病院と在宅の看護師が、退院後の生活や支援の意味を伝え合うことも紹介されています。一方で、一つの実践と一つの結果が単純に結び付くとは限らない、という難しさも語られています。

私はここを、記録や申し送りを振り返るきっかけにしたいと思います。「声をかけた」「見守った」という行為だけでは、判断の中身は伝わりにくい。何を観察し、何が気になり、その対応を選んだのか。理由が共有されれば、次の人も観察を引き継ぎやすくなります。これは私の実践への提案であり、特集が新しい記録様式を義務付けたということではありません。

明日見る場所:申し送りに、行ったことだけでなく、その対応を選んだ理由が伝わるか。

(出典:日本看護協会「看護師としての専門性の発信」・協会ニュース10月号特集の案内、10月21日掲載案内)

本日の処方箋:次の勤務で、判断の理由を一つだけ伝える

今週やることは一つです。次の勤務の申し送りで、自分が対応を選んだ理由を一つ、具体的な観察と一緒に伝えてみてください。記録する場合は、所属先の様式と個人情報の取り扱いに従います。

どんな支援が足りないのか。どんな判断が日々の仕事を支えているのか。職場の状況を話すときにも、具体的な事実が手がかりになります。

よくある疑問

来年度の介護職や看護職の給与は、もう決まったのですか?

今回取り上げたのは、介護関係団体の要望書です。個人の給与額や勤務先での支給方法を確定する資料ではありません。

ナースセンターなどの支援は、今回新設されたのですか?

今回の資料は既存の就業・復職支援や連携の取り組みも紹介し、今後の確保策を議論しています。すべてが10月19日から始まったわけではありません。利用できる支援は地域の窓口で確認してください。

「専門性」は認定資格がある人だけの話ですか?

日本看護協会の発信は、現場で働く一人ひとりの看護師の実践も対象にしています。ここでの専門性は、新しい資格名ではありません。


本文は2026年10月22日に確認した一次資料に基づく10月23日号です。検討会資料、団体の要望、協会の特集を区別しています。制度の運用や就業条件は最新の公的案内と所属先の説明をご確認ください。

表紙画像はAIで生成したイメージです。実在の医療機関や会議の報道写真ではありません。

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