【はたらく細胞】疲労と活性酸素|「体のサビ」だけではない
「疲労は細胞のサビ」という説明は、分かりやすい一方で単純化しすぎています。活性酸素は疲労に関わる研究対象の一つですが、寝不足や病気、心理的負担を飛ばして結論にはできません。
この記事のカルテ
- 活性酸素は通常の生命活動でも生まれ、すべてが有害な「サビ」ではない
- 生成と防御のバランスが崩れ、細胞へ影響する状態を酸化ストレスと呼ぶ
- 疲労は睡眠、負荷、病気、薬、心理・社会的要因などが重なる症状
- 抗酸化サプリだけで疲労が治るとはいえず、長引く疲労は原因を確認する
疲労は「体のサビ」だけでは説明できない
活性酸素を金属のサビにたとえると、酸化による細胞への影響をイメージしやすくなります。しかし、比喩をそのまま診断へ置き換えることはできません。
以前のこの記事は「慢性疲労は活性酸素による細胞レベルの物理現象」と断定していました。これは不正確です。疲労は本人が感じるつらさと、活動能力の低下を含む広い症状で、原因は一つではありません。
| 旧記事の断定 | 現在の整理 |
|---|---|
| 疲労=細胞のサビ | 酸化ストレスは関係しうる要素の一つで、疲労全体の同義語ではない |
| 活性酸素はすべて悪い | 通常の活動でも生まれ、生体には防御・修復の仕組みがある |
| 気合い派は必ず燃え尽きる | 個人差があり、勤務環境、睡眠、病気、心理面などを分けて見る |
| サビを落とせば回復する | 休養だけで戻らない疲労は、医療的な原因の確認が必要 |
活性酸素と酸化ストレスの違い
厚生労働省eJIMの抗酸化物質情報は、体の通常の活動でも反応性の高い酸素を含む物質が作られると説明しています。過剰に生まれ、防御とのバランスが崩れた状態が酸化ストレスです。
体には抗酸化酵素などの防御機構があります。活性酸素をゼロにすることが健康の目標ではなく、体内での役割と過剰な状態を分けて考える必要があります。
活性酸素
通常の代謝でも生じる反応性の高い物質。生理的な働きにも関わる
酸化ストレス
活性酸素の生成と防御のバランスが崩れ、細胞へ影響しうる状態
疲れたら、抗酸化サプリを飲めばよいのでしょうか。
疲労の原因を確認せず、サプリだけで解決しようとしない方が安全です。抗酸化サプリが慢性疾患へよい影響を与える根拠は、多くの領域で十分ではありません。
抗酸化サプリが「疲労の答え」ではない
厚生労働省eJIMは、通常より多量の抗酸化物質が必ずしも有益とは限らず、薬や治療と相互作用する可能性も案内しています。サプリを健康的な食事や通常の医療の代わりにしないことが重要です。
疲労が強いと、原因を一つに決めて早く消したくなります。しかし、貧血、甲状腺の病気、感染症、睡眠障害、うつ状態、薬の影響など、評価が必要な背景もあります。
疲れたときは、原因探しより先に記録する
- 期間を確認する
いつから続くか、休むと戻るか、日ごとに悪化していないかを記録します。 - 生活への影響を見る
仕事、通勤、家事、食事、入浴、睡眠のどこで困っているかを具体化します。 - 一緒に出ている症状を確認する
発熱、息切れ、動悸、痛み、体重変化、気分の落ち込みなどをメモします。 - 続く・強まるなら相談する
休養で戻らない、日常生活に支障がある、ほかの症状を伴う場合は医療機関へ相談します。
厚生労働省「こころの耳」の疲労蓄積度セルフチェックは、最近の自覚症状と働き方を振り返る入口になります。結果は診断ではありませんが、休養や相談が必要かを言葉にする材料になります。
すぐ相談先を探したい症状
- 胸の痛み、強い息苦しさ、意識が遠のく感じがある
- 突然の激しい頭痛、ろれつが回らない、片側の力が入りにくい
- 高い熱や出血など、疲労以外の強い症状がある
- 食事や水分が取れない
- 自分を傷つけたい気持ちがある。その場合は一人にならず、身近な人、医療機関、緊急窓口へつなぐ
作品から離れて、いまの疲労を確認する
次の記事では、『はたらく細胞BLACK』第1話を入口に、仕事の疲れを気合いで処理せず、症状と勤務状況に分けて確認します。
今日の一歩は、「サビ」という一語を外し、疲労の期間と生活への影響を二行で書くこと。それが、休むか相談するかを決める材料になります。
よくある質問
疲労の正体は活性酸素ですか?
活性酸素や酸化ストレスは疲労に関わる研究対象の一つですが、疲労全体を一つの物質だけで説明することはできません。
活性酸素はすべて体に悪いですか?
いいえ。通常の生命活動でも生じ、体には防御・修復の仕組みがあります。生成と防御のバランスが重要です。
抗酸化サプリで疲労は治りますか?
疲労の原因を確認せず、サプリだけで治るとはいえません。薬や治療との相互作用にも注意が必要です。
疲労はいつ受診しますか?
休んでも戻らない、長引く、悪化する、日常生活に支障がある、ほかの症状を伴う場合は医療機関へ相談してください。